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ブログ2025.10.18
大切なのは自分を肯定しようとする自由。
【Tailor Fukuoka -テーラーフクオカ- 銀座 Blog】
皆様こんにちは。
テーラーフクオカ銀座店の木村です。
先日、久しぶりにクレープを食べました。
最近、甘いモノを食べていなかったせいか
何だか、とても中毒性を感じました。
さて、本日はこちらの紹介。
皆様、パーソナルカラーや
パーソナル診断というものを受けた事はありますか。
どちらも自分自身に合う色や
スタイルが分かるというものなのですが
稀に、これらの結果を元に
「私は〇〇は似合わない
何故ならパーソナル診断でそう結果が出たから」
「パーソナルカラーが〇〇色と出たので
〇〇色の生地を探しています」
というような事を仰る方がいます。
断言します。
そんなものはありませんし
何が似合うかは自分が決めるものです。
そもそもですが
何かが似合う、似合わないというのは
主観でしかありません
そこに客観的なデータや
科学的な根拠はありません。
もし仮に自分のパーソナルカラーが
ピンクですと診断された場合
果たしてどれほどの人間が
ピンクを身に纏うのでしょうか。
それに素直に従うのでしょうか。
往々にしてパーソナルカラーというは
そういう突飛な色は出てきません。
もし仮にパーソナルカラーが
黒、紺、グレー、サックスと診断されれば
素直にその色のみを使って
ファッションを作るのでしょうか。
似合う、似合わない(という主観)と
ファッションとしてお洒落かどうかと
自分が何を着たいか(どういう自分を目指すのか)と
着用シーンにふさわしいかどうか
(マナーや歴史、周りに与える印象を含めて)
というのは全て別の話です。
にも関わらず
診断された色や形に囚われていては
ファッションやコーデネートの巾は
広がりませんし
何より、そのようなものに囚われる事で
自分で考えて、実行し、反省し、また考え、、、
つまり、ファッションに向き合う事がなく
自分を考える事を放棄してしまえば
一生、お洒落にはなり得ません。
ダサいと思われる事は
なくなるかもしれませんが
お洒落と思われる可能性は低いですし
自分をお洒落だと
思えるようになる可能性はありません。
また、本質的なファッションを
楽しむ事も知る事も出来ないでしょう。
似合うかどうかは自分自身が決めるものです。
人は無意識のうちに見慣れているものを
標準、普通、だと思ってしまうのです。
しかし、それはあくまでも慣れでしかありません。
もし仮に〇〇色は似合わない
(あるいは逆に似合うようになりたい)
と思う色があるのでしたら
毎日、その色の服を着続けてみて下さい。
2か月もすれば、似合わないと思っていた
違和感はなくなり
周囲の人間からも貴方と言えば
〇〇色だというイメージが定着して
似合っていないと言われる事は
なくなるはずです。
大切なのは自分で選んだという意志であり
この力強い自己への肯定こそが
ファッション自体を着こなすコツであり
自ら主体的に選ぶ自由だけが
自分を自分、人間を人間たらしめるものなのです。
なんだ、何の論理も根拠もない
ただの根性論じゃないかと思われる
方もいるでしょう。
そうです。
その通りなのです。
実はファッションや
コーデネートというのは
意外と根性論なのです。
もう、7年程昔の話です。
友人が服が欲しいというので
一緒について行きました。
(ちなみに私は、付き添いで行ったのに
アレコレと口を出すのは美しくないですし
目の前で接客してくれているプロに
対してリスペクトを欠いた
ある意味でプロらしからぬ
行為だと思っているので
必要最低限の事しか
アドバイスはないようにしています)
その時はベージュのジャケットと
確かシンプルなオックスフォードシャツを
買ったのですが
自宅に戻って再度試着した際に友人が
「何だか、あまりカッコ良く見えない気がする。
やっぱり自分にはお店のスタッフや
マネキンのようには着れないのかなぁ、、、、。」
と言いました。
その言葉を受けて
改めて友人を観察して確信を持って
私は友人にこう伝えました。
「そういうファッションに
慣れていないのが見て分かる。
気恥ずかしくて、自分が似合っているか
どうか不安に思い堂々としていない。
不思議なものでそういう雰囲気は周囲に伝わる
それがあるとカッコ良くは見えないよ」と。
加えて
自分は絶対に似合っていると信じる事
服を着たら、それ以降は何も
着ていないかと如く振る舞う事
(この業界だと有名な大昔の
洒落者の格言とされていますね)
こういう事が大切だとも伝えました。
よくよく聞いてみると具体的な事は
何一つ言っていないこのアドレスですが
不思議な物で伝えた後の友人は
自然と背筋が伸びて歩く際に足元を見ていたのも
正面を見て力強く歩くようになりました。
その後の友人がどういう風に
なっていたかは分かりませんが
しばらくの後
「一緒に選んで貰った服が
有って良かったよ。
おかげで、良い感じだった」
と連絡をもらいました。
直接の確認は出来ていませんが
きっとその時の友人は
お洒落な服を、それに負けないように
着こなしていたのだろうと思っています。
まあ、これらは全て所詮
ポジショントークなのかもしれません。
ただ、それでも良いのです。
私は、この文章を通じて少しで多くの方が
ファッションと自分について
考えていただくきっかけになれば幸いです。
銀座店 木村