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ブログ2026.01.18
シャツエリの話
【Tailor Fukuoka-テーラーフクオカ- Shinjuku Blog】
こんにちは
テーラーフクオカ新宿店の豊島です。
最近、10歳以上の齢の離れた若手社員たちと
シャツの襟の話をする機会がありました。
10も違うと見てきた景色はだいぶ異なり
世代間ギャップを大いに感じました。。
時の流れを否が応でも感じ、切ない気持ちもありますが
同時に面白くもあったので
今回ブログに書かせていただいています
私がドレススタイルに興味を持った頃から
およそ20年くらいが経ち
その中でドレスウェアファッションにおいて
変遷は随分ありました。
スーツの変遷はこのブログを愛読いただいている
諸兄様たちはしっかり頭に入っているかと思いますが
脇役に捉えられることが多い
シャツ(主にエリ型)にもやはり変遷があるものです。
古雑誌の収集を趣味にしていたこともあり
60年代から00年代にかけての変遷も
個人的にはたまらないところですが
こちらでは私が身を持って感じた
ここ20年間の一次情報に限って
シャツの衿型の変遷を書いていきたいと思います。
まず2000年代前期は
イタリアンスタイルが大衆に向けて広がっていた時期で
それまではどこかイギリス的なスーツが多かったのですが
感度の高い方はクラシコスタイルに傾倒していった時期です。
そこで目を引いたのが手仕事のきいたハンドステッチが施された
やや剣先の長いセミワイドカラーシャツ。
今でこそ下火になってもう一部量販店でしか
見かけなくなったデザインですが
この頃、LEONが一世を風靡していて
“ちょい不良(わる)オヤジ”たちが
当時としては先端の袖やパンツ裾が細くなった
タイトなスーツに
この不揃いなステッチの効いたシャツを着ていたのです
ナポリなどのハンドメイド服を思わせるような出で立ちで
いつか大人になったらあんな格好をしてみたいな、
と観察しておりました。
そこから2000年代中期には
“クールビズ”が環境省から提唱され
そこから徐々にボタンダウンシャツが
主役となりその発展系として
台襟ボタンが2連になっている
ドゥエボットーニが隆盛します。
当時クールビズの普及と相まって
ボタンダウンのドゥエボットーニが
各セレクトや高感度のショップなどにも
メイン商材として並んでいました。
今では想像できないかもしれませんが
まだ一部の感度高いファッショニスタ専用の
衿型感がありましたね。
(ボタンが3連になったトレボットーニもありましたが
これはキワモノとなってしまい
展開はされていたものの
あまり浸透しなかったと記憶しています。)
ノータイで着用がメインで
前ボタンを開けると
美しいエリの立ち上がりを演出でき
それまでの仕事着的なホワイトシャツとは
一線を画す表情でした。
その後、高感度ショップは一切追随はせずでしたが
ドゥエボットーニはデコシャツ化していきます。
量販店やネット通販などで独自に進化してきましたね。
色ボタンを多用したもの
レイヤードカラーやモチーフ刺繍が入ったり
グログランテープや襟裏やカフス裏に別布にしたもの…etc
現在“ドゥエボットーニ”と聞くと
このあたりを連想される方が
多いのではないでしょうか。
その後の2000年代後期になってくると
ナポリシャツメーカーを中心に
カッタウェイカラーが登場します
これが空前の大流行。
まさに一時代を席巻しました。
それ以前よりカッタウェイカラーが
なかったわけではないのですが
あくまで南欧のリゾートウェアという
ポジションでした。
日本においては2000年代から
クールビズが広がりをみせた中で
隆盛したボタンダウンが
飽和状態にあったのも相まって
新たな切り口として提案されていたのが
このカッタウェイカラーでした。
ちなみにさきほど記載した
2005年の小泉内閣の写真よく見ると
右に写る谷垣財務大臣(当時)は
カッタウェイカラーのシャツを着ていますね。
まだ広まる前なので
おそらくリゾートウェア着想だったのだと思います。
このシナジーは凄まじく
ノータイだけでなかく秋冬時期にも
タイドアップをしてカッタウェイでしたので
年間通してシャツの衿型の主役に
躍り出たようでした。
これは仲間ともよく話すのですがあの当時は
“カッタウェイでなくては話にならない感じ”でした。
猫も杓子もカッタウェイという雰囲気でした。
かくいう私もその一人で
私がこのテーラーフクオカに
加入した当時カッタウェイの衿型はまだなく
熱望・懇願の末、見かねた上司に
シャツメーカーさんとの打ち合わせに連れて行ってもらい
翌年ようやくリリースできました。
私としてはルイジ・ボレッリやバルバ等
さまざまな専業メーカーがカッタウェイを
全面に打ち出していましたが
その中でもフィナモレのカッタウェイ(シモーネ)は
当時から一目置かれたカッタウェイカラーシャツでした。
手仕事が効いていて自然に巻き上がるような
カッタウェイカラーは自分で着ては
惚れ惚れするようなエリの表情でした。
(2016年1月:カッタウェイも流行としては末期でしたが
イタリアでは根強い人気がありロングトレンドになっていました)
ただそのカッタウェイカラーも
強烈に流行したがため宿命ですが
その後2010年代中頃には
下火になっていきます。
そこで代わって主役になったのが
ワイドカラーです。
カッタウェイの角度が
およそ180~190度ですが
ワイドカラーは120~150度程度であったため
カッタウェイからの移行もスムーズでした。
元々ドレススタイルの
定番型であったワイドカラーは
クセのない衿型でスタイリング的にも
まず邪魔をしない存在のため
瞬く間に置き換わっていった印象です。
↑タブカラー(ループタブ)
↑ピンホールカラー
その後、タブカラーやピンホール
またはバンドカラーなども
ビジネスウエアの自由化・カジュアル化や
クラシック回帰の流れに乗って支持を集めました。
ただワイドのような主流に躍り出る感はなく
あくまで多様化に寄与した感じでしょうか。
その後、コロナ禍もあり
かつてのドゥエボットーニや
カッタウェイのようなビックトレンドは
見受けられませんでしたが
昨今はレギュラーカラーへの回帰が見受けられます。
私がこの業界に入った頃には
まず考えられなかった動向です。
特に2010年代初頭の
カッタウェイ至上主義の下では
レギュラーカラーは前時代的なシャツの
象徴のような存在だったからです。
ですがこれも面白いことに
今改めてみると
とても洗練されて見えるのが不思議です笑
これが流行という魔力なのでしょう。。
もちろんレギュラーカラーも進化していて
細部はかなり凝った作りになっているので
同質とするのは違うのかもしれませんね。
私としては今まさに
レギュラーカラーを
アップデート中で
近くリリースできるよう動いておりますので
それはまた別の機会にということで。。
とりとめのない乱文でしたが
振り返ってみると記憶の限りでも
変遷がさまざまあり
知らない世代からすると
物珍しいようです。
若者側だと思っていた私が
20年も前の昔話をするようになって
ちょっとなんとも言えない気持ちにもなりますが笑
この蓄積が今日のドレスウェアにつながっているので
皆様にも共有したく書かせていただきました!
このあたりお詳しい方は
平成ドレススタイルについて
ぜひ談義でもしましょう笑
ではまた!
テーラーフクオカ新宿店 豊島
Staff投稿者豊島 [Toyoshima]

服飾系大学を卒業後入社し
現在はTailor Fukuokaにて企画会議や撮影などに参画。
メガネとヒゲ(たまにボウタイ)が特徴で
こだわり強めの一児の父。多趣味である。
新宿店店長
























