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2021.01.19

スーツの背抜きと総裏について考える

【Tailor Fukuoka Ginza Blog】

 

皆様こんにちは。 

テーラーフクオカ銀座店の木村です。

 

先日、ウォーキングデッドの

最新シーズンが公開されていました。

もう、そろそろ

平和に暮らして欲しいものですね。

 

さて、本日はこちらのご紹介。

 

総裏,背抜き

 

総裏,背抜き

 

 

スーツの内側、、、裏地についてです。

オーダーになれている方なら

ご経験も多いと思いますが

スーツのデザインを決める際に

ボタンの数、衿の形、ベントの形等を

決めていきますが

その中で、背抜きか総裏を選ぶ事が

あると思います。

 

よく、日本では夏用と冬用で

分ける事が多いのですが

実はこれ、違う見方もございます。

 

そもそも、裏地の役割とは何か?

 

一番は表地を守る事です。

裏地が付いていないと表地が

皮脂や汗等の汚れに晒されることになり

それらが付くと、繊維の間が詰まり

硬くなり風合いも落ちますし

生地によっては変色や臭い等の原因にもなります。

つまり、見た目も悪くなりますし

スーツの痛みも早くなります。

 

また、裏地には滑りをよくする効果もございます。

かつては、素材にシルクを使用する事が

多かったですが現代では

裏地の素材と言えば、ほとんどが

ポリエステルかキュプラです。

この二つ同士でも、その性能に差はありますが

どちらも良く滑るように作られています。

スーツを着る時には、袖や肩、背中などに

必ず摩擦が発生します。

この際に、裏地が無いと表地を直接

擦るわけですから、必然的に

スーツの痛みは早くなります。

 

 

そして、裏地にはスーツの形を

保つという効果もございます。

どういうことかと、いいますと

スーツの表地は基本的にウールで

出来ています。

 

ウールというのは天然繊維で

その柔軟性と、吸湿性、保温力などに

優れているのですが

それにより引っ張ると伸びますし

湿度によっても伸縮します。

この際に、適度にゆとりをもった裏地が

付いてある事で、その伸縮や身体の動きに

合わせて適度に伸び、過度に伸ばさないので

型崩れを防いでくれます。

 

総裏,背抜き

 

他にも、表と裏で縫い合わされている為に

横から見た時にも背中にハリがあって

背筋をまっすぐに見せてくれたり

背中のシワが付きにくいなどもメリットです。

 

では、逆に背抜きにするメリットは何か?

 

若干、風通しが良くなるというのも

事実だとは思いますが

個人的には、背中が軽くなるというのが

背抜きのメリットだと思います。

先ほどとは逆に、背抜きにすると

背中の生地にテンションが

無くなるので背中が身体のラインに

沿いやすくなりフィット感やドレープ、

軽さが出て色っぽく見えます。

 

ですので、堅いスーツというよりは

柔らかなジャケット向けではないかなと。

インポートブランドの

ジャケットは冬物でも背抜き(あるいはアンコン)

になっている事が多いですし

個人的にも冬のジャケットを

背抜きで作る事もございます。

 

冒頭の話しに戻ると

日本で背抜きと言えば夏用という

認識自体が広まったのは

既製店の戦略でもあるとは思いますが

背抜きには上記のメリットがございます。

このメリットを活かせる生地というのは

綿や麻、目付の軽い生地等と

夏物になりやすい故に

夏によく見かけるようになった

というもの有るのかもしれません。

 

最終的にですが裏地の付け方は季節に関係なく

(暑いか涼しいかではなく)

ご自身の用途、好みに合わせて選んで頂くのが

よろしいのではないでしょうか。

 

銀座店 木村

 

 

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