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2015.04.13

本格靴の製法~続々・グッドイヤーウェルト製法~

【Tailor Fukuoka Ginza Blog】

 

思春期の斉藤の情緒不安定さに

勝るとも劣らない昨今のお天気事情ではありますが

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

こんにちは。

銀座店の靴将軍こと斉藤です。

 

東京では花見シーズンも過ぎ去り、

このまま暖かくなっていくのだろうなと

わくわくして夜も眠れない日々が

続いた人もおられることと思いますが、

そうは問屋がおろしませんでした。

標準ディテールとして「暑がり」が

備わっている斉藤は、

おかげさまで快適な日々を

送らせて頂いております。

ありがとうございます。

 

というわけで、皆さまお待ちかね

第3回斉藤靴ブログであります。

お約束しておりました通り

グッドイヤーウェルト製法で仕上げられた靴の

履き心地についてです。

 

前回、前々回の靴ブログで

グッドイヤーウェルト製法とは何ぞや

という部分はお話いたしました。

 

おさらいをという方は、こちらこちらから

とんでいってみてください。復習は大切です。

そしてその履き心地。

結論から言うと、「苦痛」です。(靴だけに)

それには、まずは革のお話から。

Tricker's01

そう、この製法で作られた靴の革って硬いんです。

なぜ?

この製法には、様々な工程が存在し、

それに耐えうる革でないといけないということ、

そして前回ブログでも書かせていただきましたが、

長い着用期間に適した丈夫な革である必要がある

ということが挙げられます。

 

その他にも、元は軍靴や狩猟用の靴を作る際に

用いられていた製法であるため

丈夫でなくてはならなかった、

そもそもイギリス人の国民性だ、などなど

理由は様々あげられますが、

とりあえず硬い革、

つまり丈夫な革が使われていることが多いです。

(中には柔らかい革を使っているメーカーもあります)

 

そして忘れてはならないのが、

インソールとアウトソールの間に

詰め込まれた「詰め物」。

多くはコルクが使われております。

 

GYK01

 

この詰め物が、長く履いているうちに

だんだんと沈み込んでいき、

自分の足になじむようになります。

(いわゆる高級靴はこの詰め物が隙間なく

とても丁寧につめこまれています。職人技です)

硬い革を使用し、中にコルクが詰められている、

ソールとソールの間にウェルトまで巻いている、

ということはとても重いです。

 

そして硬い革はなじみも遅いため、靴ずれなるものを

着用者に容赦なくお見舞いします。

重い、痛い、高い=苦痛。

おいおい、

良いこと何にもないじゃないのよ、斉藤さん

という方が大半でしょう。

確かに履き始めはとても苦労します。

私もどうしても痛くて痛くて仕方がなかったので、

家の中で履きならしたりもしました。

 

しかし、その一定期間を乗り越え、

足に靴ずれタコができたころには、

重さも感じられなくなり、

まるで裸足で歩いているかのような

履き心地が得られることでしょう。

(少し盛りました)

 

なじみが出た堅牢な革は、

あの日の母の優しさのように足を包み込んでくれ、

適度に沈み込んだコルクは、

天使のクッション性をもたらします。

(少々過度な表現です)

これで唯一無二の相棒の誕生です。

 

そして最後に、

この最高の履き心地を手にするのに

一番大切なのは靴の「サイジング」です。

次回この「サイジング」について

ぬらぬらと語りたいと思います。

乞うご期待。