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2023.02.27

インポートものの価値とは。

【Tailor Fukuoka Shinjuku Blog】

 

皆さまこんにちは!

テーラーフクオカ新宿店の斉藤です。

 

生地選びの際にお客様から

よくお受けするクエスチョンがこちら↓

 

「生地の値段の違いって何ですか?」

 

この問いに対して、シンプルな答えの一つとして

挙げられるのは「インポートもの」であることです。

(アパレル界隈でいう「インポートもの」は

概ね欧州原産のものを指しますので、

すべての海外製を指すわけではありません。

あしからず)

 

フォックスブラザーズ フォックスエアー FOX BROTHERS FOX AIR

 

現在の世界情勢による物価格の高騰が

世間を賑わせていることもあり、

人件費なども含めた複合要因による仕入れコストの側面で

国内製品に比べ輸入品の方が、嵩が増してしまう点は、

スーツ生地に限ったことではないので、

皆さまなんとなしに想像ができるかと思います。

 

また、単純な生地クオリティ面で捉まえてみると、

良質な自然に恵まれた土地柄や、

独特な気候条件などももちろんありますが、

欧州で生まれ育まれてきた洋装文化の歴史の蓄積を

想像してみれば、上質な生地を追い求めたゆえの

トライ&エラーも相当数に達していると思われます。

そのため、洋装向けの生地作りのノウハウは

おそらく半端なものではなく、

スーツというアイテムに対して

全うな需供関係が長い間成立している環境下で

鍛錬された生地の完成度には

なかなかに太刀打ちできないという点もあります。

(もちろん日本製の生地も

負けてないと思っておりますよ)

 

 

きっとほかにも挙げられるでしょうが、上述した内容は、

おおよそ「たしかにそう言われてみればそうだな」と

納得してもらえそうな実に現実的な理由です。

 

ただ私も洋服好きのはしくれとして、

ひとつ夢のあるファンシーな理由をあげるとするならば、

日本人の感性では表現できない、

英国ものでいえば「質実剛健さ」、

イタリアものでいえば「妖艶さ」のような

「目に見えない何か」が備わっているから。

とでも言いましょうか。

洋服に限らず、車や料理、家具や映画などなど...

海外製品や文化(欧米)への

羨望や憧れはきっと誰もが持っているかと思います。

 

Savile Row サヴィルロウ 仕立て屋街

 

その憧れはおそらく「目に見えない何か」に

魅力を感じているからこそで、

その「目に見えないなにか」を

私は「ムード(Mood)」と

呼ぶようにしています(特許はまだとっておりません)。

私はそのアイテムがもつムードを纏いたい、

味わいたいがためにインポートものを選び購入します。

そのことに価値を感じ、それが全てといっても

過言ではありません。

むしろ「ムード」にお金を払ってます

(それはちょっと言い過ぎか)。

 

Tailor Fukuoka 2023 Spring & Summer Supply

 

長くなりましたが、斉藤フィルターを通すとすれば

「そんなイカしたムードを振りまいているような

生地であれば、そりゃ良い生地(高額)だよね」

という感覚です。

やはり良いとされる生地には、それなりの値段(価値)が

つけられることが多いですが、形となった製品が持つ

「ムード」は何物にも代えられないものです。

 

購入時の決め手となるポイントはそれぞれに

お持ちだと思いますが、ぜひそのひとつに

「ムード」を感じ取るアンテナを加えてみてください。

今までよりも洋服の魅力がグッと広がると思います。

 

斉藤