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ブログ2025.06.25
エイジング記録 13年物ウールリネンジャケット編
【Tailor Fukuoka Shinjuku Blog】
こんにちは
Tailor Fukuoka新宿店の豊島です。
仕事柄お客様と
「エイジングをしたら全体毛羽を帯びて着慣れが出てきて…」
「数年で色も感じよく退色ののちに…」
云々、よくお話しするのですが
若い方ですと実際に10年以上の時間軸で
着込んでいったご経験がある方は
そう多くはありません
本日はタイトルずばりの内容なのですが
私が2012年初頭に作った
ウールリネンのオーダージャケットが
13年の時を経て
どんな体を成しているのか
こちらのブログに載せていきたいと思います。
ウールが75% リネン25%程度の
ケアも比較的しやすいリネンジャケット生地でしたので
13年前に春夏の定番ジャケを拵えたく
オーダーしたものです。
当時は兎角軽く柔らかい構造をしたもの
いわゆる“アンコン仕立て”が先端な仕立てであったため
これも例に漏れずパットや芯材を
極力省いた仕立てで縫製されています。
今はもはや定番となっているアンコンストラクテッドな仕様も
当時のドレスジャケットに特化したファクトリーが多い
オーダー業界ではまだまだできる工場も多くなかったのです。
それを入社した間もない20代の私としては
いち早く自社でもこういう軽いジャケットを
きちんとオーダーできるような体制にしたかったので
個人着用分をオーダーして当時の上司達に
アピールしたのを覚えています。
(ちなみに現在ではStandard Lineでしたら
オプションにて+4400円からオーダーいただけますし
Prestige LineであればBeauというパターンであれば
このアンコン仕立てが標準搭載されています。)
…話が逸れました^^;
構造体としてはかなり簡素な構成なので
高混率ではないもののリネンの物性は
ベント回りによく出ています。
いわゆる生地が回ってくる“カーリング”です。
エイジングを見せる観点から
撮影に際してプレスなどはかけておりませんので
見方によってはみすぼらしく
見えているかもしれませんが
私としては好意的捉えています。
袖口は夏物のオーダージャケットの
常套手段と言っていいでしょう
黒蝶の貝ボタンを使っています。
このあたりで遊びすぎなかったのも
13年経ってもなお着用出来ている
理由かもしれません。
あと一年かな、
もう一年か、
そろそろ来年だろうか、
と言いながらここまで付き合うと
なかなか腐れ縁的な関係になってきますね。
リネン素材は毛羽立ちや色が抜けるから
寿命が短い、という持論をお持ちの方も
いるかもしれませんし否定もしませんが。。
大学の時(確か衣服材料学?の講義)で観た
映像資料内でフランスのおばあちゃんが
自分が生まれる前から使われている
リネン製のベッドシーツを100年近く経った
未だに使い続けているシーンが
私としてはすごく印象深く。。
天然の繊維としては高強度ですし
なにより水に強い繊維なので
洗いにもへこたれないのが麻です。
(短繊維なので毛羽は断ちますし
光堅牢や染色性は低いですが)
リネンに限りませんが
素材のエイジングを楽しみにながら
着用者に長く寄り添ってくれる
ジャケットを作りたいと
最近は歳のせいか?強く思います。
もしご要望あれば
長く使う観点もきちんといれて
設計させていただきますので
お声掛けいただけると幸いです。
↑ちなみに番外編ですが
当時のカノニコ織ネームはこちらでした。
今とはまた違いさっぱりしていますね。
私としてはこれのほうが既視感が強い。。
ではまた!
新宿店 豊島
Staff投稿者豊島 [Toyoshima]

服飾系大学を卒業後入社し
現在はTailor Fukuokaにて企画会議や撮影などに参画。
メガネとヒゲ(たまにボウタイ)が特徴で
こだわり強めの一児の父。多趣味である。
新宿店店長